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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年5月号

すべての外国人学校に大学入学資格を!
免税措置や助成金の差別もなくせ


 四月十二日、「すべての外国人学校の大学入学資格を、多民族・多文化共生をめざす」シンポジウムが開かれた。会場の東京大学駒場キャンパスには学生を中心に約二百人が集まった。
 集会では龍谷大学の田中宏教授が「外国人学校『問題』の現段階」と題して基調報告を行った。田中氏は戦後の在日朝鮮人の民族教育の闘いと、それを認めない日本政府による弾圧の歴史を紹介した。近年、規制改革の流れの中で、外国人学校の大学入学資格問題が浮上し、「二〇〇二年七月段階では朝鮮人学校も含めて認める方向であったが、十月に民族学校を排除する方向に転換した。今回の決定の背景に、昨年九月十七日(日朝首脳会談)以降の異常な事態が反映していると考えざるを得ない」と政治的な背景を指摘。さらに、「入学資格についてはいったん白紙に戻ったが、三月末に外国人学校の中でインターナショナルスクールのみに税制上の優遇措置を与える決定をした。専修学校卒や外国人留学生との不均衡など、文科省にはなにがなんでも民族教育は認めないという姿勢がある」と政府の態度を厳しく批判した。
 続いて、中華学院や朝鮮中高級学校など外国人学校の先生・生徒や保護者からの証言が行われた。朝鮮学校の教員は「昨年の九月十七日以来、朝鮮学校生徒に対するいやがらせ事件が続いている。また朝鮮学校への助成金は公立学校の六十四分の一、私立の二十四分の一しかない。等しい納税義務に対して還元を受けられず多大な経済的負担を強いている。こうした制度上の差別が目に見えない民族差別を助長している。大学入学資格、税制上の優遇措置も含めて日本政府の朝鮮人蔑視の思想は変わっていない」と指摘。
 さらに問題を深める立場から、多文化共生センター東京21の王さんが「外国籍児童・生徒の教育の実態調査」について報告を行った。二〇〇三年在日宣言委員会の金さんは、「大学受験資格問題は、日本政府による植民地主義がいまだに続いている表れではないか」と指摘。東京大学の高橋哲哉教授は、「この問題は大学受験資格だけの問題ではない。背景に根深い排外主義がある。自民党内には『朝鮮学校だけには認めない』という声があるようだが、最近の反北朝鮮キャンペーンとつながっている」と批判した。
 最後に、(1)文科省に対して、すべての外国人学校の大学受験資格を来年度入学から認めること。免税措置や助成金の差別をなくし学校教育法一条校と同等の地位を保障すること。(2)国会に対して、国際人権条約と人権機関の勧告に基づく法制度の実現に向けて、ただちに外国人学校関係者の公聴会開催と実態調査を求める、特別アピールを採択して運動の継続を確認した。

「すべての外国人学校に大学入学資格と
財政措置を求める共同声明」
への賛同のお願い

◎呼びかけ
 イラクに対する侵略戦争が始まり、日本の政界が迷走している中、文部科学省は3月 28日、日本にある外国人学校のうち、インターナショナルスクール16校に限って国立大学の入学資格を認めるという「方針」をいったん凍結し、民族学校を含めて再検討する、と発表しました。しかし、その三日後の3月31日、文科省は撤回したはずの先の「判断基準」(3月6日)を持ち出して、欧米の学校教育評価機関の認定を受けたインターナショナルスクールにのみ税制上の優遇措置を与える、と告示しました。これは、朝鮮学校や韓国学園、中華学校、ブラジル人学校など民族学校を、恣意的に排除する排外主義的差別政策に他なりません。
 私たちは4月12日、東京大学駒場キャンパスにおいて「すべての外国人学校に大学入学資格を! 多民族・多文化共生をめざすシンポジウム」を開催しました。私たちは、文科省のこのような姿勢を批判し、各大学で、各地域で「多民族・多文化共生」を求める声を挙げていくこと、そしてこれら「良心の声」をつないで大きな世論をつくっていくことを確認しました。
昨年9月17日の日朝首脳会談以降、日本社会は排外主義の嵐の中にあります。そこにあっては、日本が果たすべき歴史責任も、東アジアにおける平和構築の役割も、後景に退けられています。しかし私たちは、「日本籍」「韓国籍」「朝鮮籍」「中国籍」「ブラジル国籍」……さまざまな国籍とさまざまな民族、さまざまな文化を持つ人びとが「共に生き、共に生かし合う」社会の実現を求めます。

◎お願い
私たちの「共同声明」に、ぜひ賛同をお願いします。個人署名でお願いします。
また、もし可能なら、この「共同声明」を友人・知人に転送して、一人でも多くの方の賛同を得るようにご協力をお願いします。
私たちはこの「共同声明」を多言語に翻訳して人権NGOなど世界の人びとに発信し、5月31日に賛同署名を集約します。そして6月初め、文科省と国会に対して申し入れを行なう予定です。ぜひ皆さんも各学校、各職場、各地域において、さまざまな形で声を挙げていってください。

◎ホームページ
 下記のホームページでは、4月12日シンポジウムの記録と関連資料を掲載していくほか、随時、「共同声明」賛同者のお名前とメッセージをアップしていきます。
http://minzoku-gakkou.mongran.com/

◎声明賛同の要領
締め切り:5月31日(土)正午
宛 て 先:shomei@minzoku-gakkou.mongran.com
または、Fax:03−3204−9495(NCC=日本キリスト教協議会)
郵送:〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2−3−18―52 RAIK

*できるかぎりメールを使っていただければ幸いです。
*メールの仕分け処理のために、メールの表題は「共同声明賛同」としてください。
*メールに記していただく内容については、個人でご賛同いただく場合と、団体などで集約していただく場合とで異なりますので、下記をご覧ください。なお、集約作業にはたいへんな労力が予想されるために、できれば賛同される方を何人か集約した上で送っていただければ幸いです。

○個人で賛同される場合、下記の事項を記してください。
 (1)お名前:
 (2)肩書き、あるいは所属、あるいは居住する都道府県名:
 (3)メッセージ(もしあれば):
○団体などで集約される場合は、次の要領でお願いします。
 (1)賛同者の「お名前」と「肩書き、あるいは所属、あるいは居住する都道府県名」:
 (2)メッセージ(もしあれば):