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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年1月号

代表世話人からの新年メッセージ

日米両政府は台湾の火種を利用し
基地強化と改憲をねらう

福地 曠昭


 数年前の少女レイプ事件以来「国民連合」が沖縄の基地問題に精力的な活躍をされてきたことに感謝いたします。本年(二十一世紀)の運動方針の主柱として沖縄問題を位置づけた長崎全国総会は平和の創造意欲にみなぎっていました。
 私は満州事変の昭和六年に生まれ、日支事変の昭和十二年に小学校へ進み、そして大東亜戦争へ突入。十五年戦争の終えん地沖縄戦のため、国民学校の卒業式さえ迎えることができませんでした。戦後「琉球人」として扱われました。日本国憲法ができたとき、平和日本の誕生に躍動し、青春の希望と生き甲斐を抱いたものです。それもつかの間、一九五〇年の講和条約発効前に朝鮮戦争がぼっ発し、沖縄は前線基地と化しました。その後「中国封じ込め」の反共基地として太平洋のジブラルタルとされ、アジア侵略の拠点とされたのです。沖縄戦で日本軍閥の犠牲となり、ベトナム戦争及び湾岸戦争では米軍の戦略に加担させられました。新憲法に憧れ、平和運動に身を挺したひとりとして、平和を維持できなかったことをおわびしたいと思います。
 昨年は沖縄にとって二つの象徴的な出来事がありました。一つは首里城をはじめ九つの遺産が世界遺産に登録されたことです。沖縄サミットでは「沖縄の心、平和」を発信しようと私たちは嘉手納基地を包囲しました。しかし、それが世界に届いたとはいえません。
 日米両首脳は基地の重要性を強調し、「アジアの平和のために貢献している」と口を揃えて言いました。あれから半年経った今日、普天間飛行場の移設は「十五年期限」をあいまいにしながら県民を騙しつづけています。政府は代替施設協議会をつくって建設場所と工法を決める作業をすすめています。海上施設発注をめぐって日米の大資本が争い、国内では政治家、派閥のみぐるしい入札騒動がはじまっています。
 外ぼりを埋める奇策は「見え見え」となってきました。前米国防副次官補キャンベル氏が「一つのかごにあまり多くの卵を入れすぎた」(十一月那覇講演)と過重な基地負担を認めています。県内移設には県民あげて反対しているのです。県民が基地の過重負担に賛成するはずがありません。岸本名護市長は「十五年」の先送りに反対しております。辺野古周辺のジュゴン保護について国際自然保護連合(IUCN)から勧告され、日米両政府はもはや、逃げられなくなってしまいました。ジュゴンの成育数は五十頭に割り込み、絶滅寸前の危機におかれているといわれます。
 米国のブッシュ新政権は台頭する中国に対処するため日米同盟を重視、憲法改正を歓迎しています。台湾の火種を利用して沖縄の地理的な重要性を強調してくるでしょう。私たちは憲法改悪をくい止め、奴属的な日米安保と地位協定に真っ向からはむかう時代が来たといえます。