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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年5月号
 

平和と環境の立場から世界に発言する
国際環境NGOフォーラム



沖縄環境ネットワーク世話人  宇井純


 九州・沖縄サミット(G8首脳会議)が七月に沖縄県名護市で開催されます。そのサミットの直前の七月十三日から十七日まで名護市と那覇市で「国際環境NGOフォーラム」を開催します。主催は、沖縄環境フォーラムです。
 私たち沖縄環境ネットワークは、一九九六年十一月に沖縄で「第十六回日本環境会議沖縄大会」が開催されたとき「一回の集会で終わることなく、沖縄環境ネットワークを作って日本国内外の草の根の環境団体との交流を図っていくこと」が決議されました。これを受けて九七年四月に沖縄における環境と平和に関する諸問題の取り組みや環境と平和に関する諸活動の支援を目的として、沖縄環境ネットーワークが設立されました。現在、約九百名の会員が活動しています。
 サミットは一握りの先進国、大国の集まりです。世界の大多数の発展途上国の問題やそれぞれの国の少数者の問題は無視されるか、後回しにされる傾向があります。それに対して、途上国の問題や少数者の声を発言していくことが必要です。サミットで議論されることに対立することもありますし、補完という形をとることもあります。サミットに合わせて開催地でNGOの様々な集会が開催されるというのが最近の恒例になっています。今回も、世界中の環境NGOはそういう集会が開かれるだろうということを想定して集まってくると思います。最低、その受け皿を作る必要があるだろうという思いがあります。ともかく平和と環境という立場から、世界のNGOが声をあげられる準備をしようということです。
 参加国数や参加者数は直前にならなければ分かりませんが、私たちとしては国外ではアジア地域からの参加を重要視しています。七月十三日から十七日までの五日間の予定ですが、一日目の現地視察、二日目の全体会議などはオープンでやりますが、三日目、四日目は専門家を中心とした議論を予定しています。全体会議などは三百名くらいの会場を準備しています。
 議論のテーマは三つ検討しています。第一は、「世界市場化と環境問題」です。熱帯雨林の伐採問題や鉱山による環境破壊などです。このテーマはシアトルのWTO閣僚会議でも出されましたが、市場自由化、自由貿易による農業破壊の問題も世界的に広がっていますので材料は多くあると思います。地球環境についていえば、資源・エネルギー消費量で世界の大部分をしめるG8サミット参加国の責任は重大です。しかし、アメリカをはじめG8諸国は、成長第一主義の姿勢を続け、地球温暖化防止京都会議での約束も十分守られていません。いずれにしても、大量生産・大量消費・大量廃棄というライフスタイルを改めようとしない先進国の政府と企業そして消費者に、温暖化で海面上昇が起きれば消滅してしまう危険性のある島々の声を沖縄から発信したい。
 第二は「軍事活動と環境問題」です。冷戦崩壊後、ロシアやドイツなどで基地を調査したら非常に危険な状況があったという問題があります。沖縄の米軍基地も同様で、米軍基地から排出されたPCB廃棄物が問題になっていますが、基地による環境被害の問題は、将来の沖縄の課題でもあります。
 それと関連して沖縄に米軍基地が集中しているのは、中国大陸と台湾の緊張があるという主張も出ていますから、この緊張を緩和する努力が必要になっています。また今回、実現できるかどうか分かりませんが、北朝鮮からも呼びたいと考えています。
 沖縄で開かれるサミットですから軍事基地がもたらす環境問題は避けて通れない問題です。しかし、軍事力による世界秩序をめざしているG8諸国には、この問題を取り上げる意思はありません。ですから、ジュゴンのすむ辺野古の海を破壊させてはならないとNGOが声をあげる必要があります。ヘリ基地建設問題も含めて沖縄で進みつつある基地の機能強化の問題もアピールしたいと思っています。
 またヘリ基地建設の見返りとして計画されている振興策(公共事業)が、赤土の流出など沖縄の環境破壊を一層悪化させることになることを、世界に発信する必要があります。稲嶺知事は行政改革と称して、土建部と農林部にあった赤土対策のポストをつぶしました。沖縄の土壌は赤土が多く、土壌を掘り返すと赤土が海に流出して環境破壊につながります。事実、七二年復帰後、開発によって沖縄の珊瑚礁の九〇%は死んでしまったと言われています。
 第三は「内発的発展の取り組みと課題」です。この問題はまだ大きな取り組みはありませんが、小さな試みをいろいろやっています。われわれ沖縄環境ネットワークも、例えば適正技術を用いた下水処理に関する実験や普及活動をやっています。
 これらが議論されれば、「もう一つの発展のモデル」が沖縄で可能かどうか。あるいは世界で可能かどうか。そういう議論につながっていくだろうと思います。本格的な準備はこれからですが、沖縄から平和と環境の声を発信したいと思っていますので、ご協力をお願いします。(文責編集部)

7月13日(木)1日目
 現地視察(南部戦跡・平和の礎−普天間基地−嘉手納基地など)
7月14日(金)2日目(沖縄大学)
 全体会議
 基調講演−沖縄の自然環境と歴史的変遷
 基調報告
  1.世界市場化と環境問題
  2.軍事活動と環境問題
  3.内発的発展の取り組みと課題
 国別報告
7月15日(土)3日目(沖縄大学)
 議論
  1.世界市場化と環境問題
  3.内発的発展の取り組みと課題
7月16日(日)4日目(名護市)
 議論
  2.軍事活動と環境問題
7月17日(月)5日目(沖縄大学)
 全体会議(もう一つの発展)
 共同声明まとめ・宣言文など

<問い合わせ・申込み>
沖縄環境ネットワーク 国際環境フォーラム事務局
〒902-8521 那覇市国場555 沖縄大学 宇井研究室内
TEL/FAX 098-832-2962
Eメール ui@mail.okinawa-u.ac.jp
担当 砂川かおり