貧困一覧

コロナ後も続く困窮者支援の現場と生活保護

相談や食料を求める行列は増え続けている

コロナ災害対策自治体議員の会共同代表(足立区議会議員) 小椋 修平

 

 

 

 新型コロナウイルス感染症拡大から間もなく4年がたとうとしている。しかし、所持金数百円、家賃滞納でアパート退去を迫られている、すでにアパート退去となりホームレス状態だといった相談は絶えることがない。新宿や池袋などの食料配布にはコロナ前は100人~150人の行列だったのが、日に日に増え続け現在も600人を超える長蛇の列が続く。

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全国地方議員交流研修会で訴えたい 小西 祐馬

子どもの貧困問題と後退する社会保障

長崎大学教育学部准教授 小西 祐馬

 

 

1.貧困を見ようとしてこなかった日本

 先日、大学での講義後、学生から「なぜ厚生労働省は、都道府県ごとの正確な子どもの貧困率を集計し、公表しないのですか。各自治体バラバラの基準・方法で出していてわかりづらいし、まとめづらいです」と質問された。想定していなかった質問に若干焦りつつ、とっさに「政府は都道府県別に貧困率を算出するほどのデータは収集できていないからではないか。そもそも都道府県ごとに貧困率を出すつもりがないのではないか」などと答えた。そして、「日本は国としての貧困率も長年出そうとしてこなかったので」と思い出して付け加えた。日本政府は、本当に長い間、国内の貧困問題を見ようとしてこなかった。

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生活保護を阻害する扶養照会は不要!

全国の自治体での取り組みを

広範な国民連合・東京世話人/足立区議会議員 小椋 修平

 

コロナ禍で
職も住まいも失う人々

 新宿や池袋などで実施している食料配布・相談会にはコロナ禍以前は中高年男性が中心で100人~150人だったのが日に日に人数が増し、最近は500人を超える行列が続く。女性、若者、外国人など老若男女、幅広い世代が食料を求めるなど、リーマン・ショック時にもなかった異変が起きており、困窮者支援の現場は「社会の底が抜けた」状態が続いている。

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コロナ禍で一段悪化の沖縄県子どもの貧困

「ざる経済」の沖縄は基地の重圧下で困難に

沖縄県議会議員 当山 勝利

 

 「3人に1人の子どもが貧困である」という全国の約2倍の高さの調査結果に、行政をはじめ沖縄県民は衝撃を受けた。約6年前のことである。
 当時、子どもの貧困率を調べていた都道府県は全国の中で1県しかなく、翁長雄志県政下の沖縄県のみだった。全国平均の貧困率は16・3%、それに対し沖縄県は29・9%であった。県は「沖縄県子どもの貧困対策計画」を策定し、基金30億円をつくり、さらに「沖縄子ども未来会議」を発足させて行政と民間団体とが一体的に子どもの貧困問題解決に向けた体制がつくられた。

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2022年2月4日衆議院予算委員会での参考人報告

新型コロナ災害 押し寄せる生活の危機 
   支援現場からの報告と提言 

 

一般社団法人反貧困ネットワーク事務局長 瀬戸 大作

 

 

反貧困ネットワーク事務局長の瀬戸大作さんが、2月4日の衆議院予算委員会で参考人として発言した。本稿は、その発言に、瀬戸さんが準備した資料から補足したものである。見出しとも文責編集部。

 

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貧困危機打開は喫緊の政治課題

  国民から奪った富を緊急支援に回せ

 

『日本の進路』編集部

 3月から電力料金も都市ガス料金も大幅引き上げ、食料品も値上げラッシュ。原油価格はうなぎ上り、1月の企業物価(指数、速報値)は前年比8・6%増、輸入物価は実に37・5%増だ。遅かれ早かれ消費者物価に反映され、すでに苦しい国民生活をさらに直撃する。

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対談 ■ コロナ禍、貧困の現場から

雨宮処凛 さん(作家・活動家)+ おぐら修平 さん(足立区議)    
今こそ公助をたたき起こすとき

 

 

 

 

おぐら 雨宮さんとはいつも相談会とかの現場で一緒になっていますけれども、本日はインタビュー兼対談という形でよろしくお願いいたします。
 まずは自己紹介から改めてお願いします。

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緊急の国民的課題は二つ

貧窮化極まる生活危機打開と中国「敵視」政策の撤回

『日本の進路』編集部

 「総選挙を待ってはいられない」と、コロナ被災者支援に取り組む反貧困ネットワークの瀬戸大作事務局長は訴える。職も住居も失う労働者、営業困難に陥っている中小零細商工業者などの実態は厳しく緊急の支援が待ったなしだ。コロナ禍中、オリンピックどころではない。国民生活と経済が直面した危機的事態に、国と地方自治体の抜本的な対策が求められる。 続きを読む



コロナ禍で急速に進む貧窮化と格差 ■ 女性

女性による女性のための
相談会が目指す支援のカタチ

一般社団法人エープラス代表理事・女性による女性のための相談会実行委員 吉祥 眞佐緒

 コロナ感染拡大の不安が続き、出口の見えない昨年12月29日・30日と年明けの1月2日、「年越し支援・コロナ被害相談村」(以下、相談村)が開催されました。女性への影響がかなり顕著だということで、女性専用の相談ブースが設置され、①女性来場者はまず女性相談ブースに案内する、②女性相談は女性相談員が受ける、という方針が実行委員会で共有されました。
 相談村では労働組合や市民団体など多くのボランティアが参加し、法律相談(家庭・家族・生活・労働・外国人)、医療相談、お弁当などの食料の提供もあり、3日間の利用者は337名で、女性はその約2割の62名でした。直近で行われていた他団体の相談会を考えると、女性の相談割合は増えていると痛感しました。
 相談村は男性スタッフも相談者も多かったので、会場である公園の前を何度も行ったり来たりしながら、相談会場内に入れずに帰ってしまう女性の姿が何人もあったそうです。決して男性スタッフが悪いわけではありませんが、性暴力被害やDV被害を経験している女性にとっては、そこに男性がいるというだけで、恐怖がよみがえり足がすくんでしまうのです。 続きを読む


コロナ禍困窮者支援の現場から

コロナ災害対策自治体議員の会共同代表
足立区議会議員  広範な国民連合・東京世話人 おぐら 修平

 コロナ禍で、パート・アルバイト、派遣社員などの非正規労働者、なかでも女性の困窮が深刻さを増している。総務省が発表した2月の女性の非正規労働者は、前年同月比89万人減の1398万人で、過去最大の減少幅。
 野村総研の調査は、新型コロナの影響で勤務シフトが半分以下になり、シフトが5割以上減少かつ休業手当を受け取っていない「実質的失業者」のパート・アルバイトの非正規労働者が、女性103万人、男性43万人と推計。
 そのような中、昨年4月の緊急事態宣言直後に片山薫さん(小金井市議)と共に、首都圏を中心とする超党派の自治体議員で「コロナ災害対策自治体議員の会」を立ち上げ、反貧困ネットワークを中心とする、NPO、法律家など約40団体による「新型コロナ災害緊急アクション」に加盟、連携しながら、連日、困窮者支援に取り組んでいる。 続きを読む


貴方の偉業は世界(記憶)遺産、ノーベル賞を超える

中村哲君を偲んで

元福岡県教職員組合委員長 中村 元氣

突然の訃報に

 「凄まじい温暖化の影響――とまれ、この仕事が新たな世界に通ずることを祈り、来る年も力を尽くしたい――中村哲」と冒頭に書かれた文章を含む「ペシャワール会報」(NO142号、12月4日発行)が、2019年12月4日に私の手元に届きました。まさか、その日の朝、中村哲君(と、高校時代からの呼び方で書かせてください)が、ジャララバードの宿舎を出て車で作業現場に向かっている途中、何者かに銃撃され、同乗していたドライバーと4人の護衛の方々とともに亡くなられるとは思いもしませんでした。 続きを読む


物価値上げラッシュ国民を痛撃、アベノミクスのツケは貧困層に

安倍政権打倒で国民生活の危機打開、自治体にも大きな課題が

「日本の進路」編集部

 納豆など身近な食品の値上げが相次ぎ、街の牛丼も値上げされた。円安による輸入物価上昇による原材料価格値上がりが理由だ。4月からは医療や介護の保険料や窓口負担が増える。75歳以上の一部の人の保険料が上がり、入院時の食事代自己負担額が1食100円上がって460円になる。介護保険料も3年ぶりに見直され、65歳以上の保険料は平均で月数百円上がる見通しだ。
 これが安倍首相の「デフレ脱却」をめざすアベノミクスが庶民にもたらした「成果」だ。 続きを読む


憲法改悪、「戦争する国」づくり許さず

部落解放同盟第75回大会

「推進法」具体化、狭山再審闘争などの強化確認

部落解放同盟中央執行委員長 組坂繁之

 世界人権宣言70周年の今年、第75回全国大会を先ごろ終えられた部落解放同盟の組坂繁之中央執行委員長に、全国大会のポイントや、この1年どのように運動を進めていくかお話を伺った。

 この間、第71回全国大会から、女性代議員の割合を3割以上にしようということで取り組んできましたが、第75回全国大会も実現することができました。男女平等社会実現に向けた組織内目標の一つにしていますから、今大会でも達成できて良かったと思っています。 続きを読む