米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-3

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

南西諸島での自衛隊基地強化の実態

西之表市議会議員(鹿児島県) 長野 広美

 はい。ありがとうございます。
 皆さん、こんにちは。西之表市議会議員の長野と言います。
 まず、馬毛島の現状を少しご報告いたします。
 今、私たちが戦々恐々としているのは、日本のどこにもない、もしかしたら世界のどこにもない軍事施設が馬毛島にできるのではないかという思いです。
 馬毛島は鹿児島県のおへそにあたる部分にあります。小さな島ですけど、航路、空路の中心に位置します。そして、私たちが暮らす西之表市から西に10キロしか離れていません。実は大隅半島からも30キロしか離れていない位置にあります。面積は約8千平方キロメートル、南北に2・5キロ、東西に2キロ程度の島です。
 馬毛島はまさに歴史に翻弄された島であります。昭和の高度成長期には当時の平和相銀のマネーゲームに翻弄され、その平和相銀がつぶれた後、立石勲さんという実業家が馬毛島を買いました。買収価格がおよそ5億円と地元ではうわさされているものが、なんと防衛省は立石さんから160億で買い上げました。これが2019年のことです。
 当初は、硫黄島で行われている年2回、10日程度の米軍のFCLP(空母艦載機着陸訓練)の訓練地にするといわれ、「地元の皆さん、ちょっとガマンしてね」というくらいの話と同時に災害時の集積拠点にするという説明でした。
 ところがですね、防衛省も土地が100%いざ自分のものという感覚になったとたん、だんだんひどいことになり、自衛隊の陸海空共用の訓練地とすると言いだしました。実はまだすべてが明らかになっておりませんが。
 直近では、宮崎県の新田原基地からF35Bジェット戦闘機が飛んできて訓練するのではないかとか言われています。それから巨大な軍港をつくるという話も出てきています。
 これをいったい、誰が進めているのかということですが、首相官邸です。政治が主導で進めているんですね。これは地方自治権と国との闘いです。
 この問題で、この国の国防をいったい誰が決めているのか、誰のための国防なのかと改めて考えさせられています。今皆さんも実感していると思いますけど、こうした問題がしっかり議論されていないと思うんですね。
 こうした状況を誰が中心になって変えていくかも課題です。例えば、学生や労働組合、消費者団体、日本のいったい誰がこうした運動を中心的に担っていくんでしょうか。そういう意味でですね、私たち自治体に関係している者は、もっと積極的に全国展開をして、「国防は国の専管事項」と言われていますが、国民の議論として、そこをしっかりと訴えていきたいと思っています。
 私たち、国民としてこれまで国防について考えが足りなかったという反省の下に、改めてこの国の形を問われているんだろうと思っております。