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2021 新年のご挨拶 村田 くるみ さん

高等教育無償化プロジェクトFREE 総合コーディネーター 村田 くるみ

 学生が置かれる立場はコロナ以前より一層増して緊急を要する事態へと変化したことが、私たちが4月から行ったアンケート調査からも判明しまた。アルバイトなしでは送れない大学生生活や、学生アルバイトが保護されない非正規雇用の実態などが如実に学生を蝕む存在として表面化しました。
 学生への実態調査結果を基に、4月の記者会見で9つの提言や文部科学省へ要請、緊急官邸前ラリーなども行いました。私たちが発表した「5人に一人が退学検討」という調査結果は各メディアで取り上げられ、今まで問題視されてこなかった高額学費を前提とした学生の生活問題が社会に共有され、国会での議論でも取り上げられるようになりました。
 状況が深刻化するにつれ、日本全国の約200大学で学生たちが声を上げ始め、学費返還・学費減額・設備費の返還額・一律学費半額免除などを求める署名活動が始まりました。そうした日本全国の学生の声や大きな運動の流れが国会へ届き、不十分ではありますが、約41万人が受け取った「学生支援緊急給付金」制度へとつながったと感じています。
 昨年の1年間は学生たちにとって苦しい1年であったとともに、私たちの声を政治に届かせることで私たち自身の生活を変えることができると身をもって実感した1年でもあったと思います。「要求ないところに成果なし」という言葉の通り、現状をどうにかしたいという想いを沈黙ではなく言葉と行動で形づくった1年でした。
 20年10月から集めている後期実態調査アンケートの結果から、コロナ禍の長期化に伴い経済的困窮を理由に大学から去らざる得ない学生がさらに生まれかねないことが分かりました。また、経済的悪化・学費の問題や大学での学びが保障されていないことが原因で、精神状態の不安定さや体調不良などが深刻化し学生をさらに追い詰めている実態が浮かび上がってきました。
 新しい年を迎えても、私たちFREEは昨年の体験をしっかり共有し引き続き緊急の学生支援の対応を求めるとともに、高等教育無償化に向けて一歩一歩確実に踏み出していきたいと思います。
 最後になりましたが、コロナ禍という厳しく苦しい環境の中で新しい出会いもたくさんありました。FREEの活動を応援してくださり、温かいお言葉を掛けてくだった方々や、私たちの活動を社会へ伝えてくださった報道関係者の方々、そして私たち学生の声を無視せず向き合ってくださった国会議員や地方自治体の方々に感謝の気持ちと新年のあいさつを述べ最後の言葉としたいと思います。本当にありがとうございました。今年も、よろしくお願いいたします。