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[イージス・アショア撤回] 国策に向き合った地方自治と住民運動

イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会
萩市議会議員 浅井 朗太

 河野太郎防衛大臣が、イージス・アショア配備計画のプロセス停止を発表した。この計画は、2年半前の17年12月に、当時の防衛大綱にも中期防にもなかったにもかかわらず、閣議決定で導入が決まったものだった。国策と言える防衛政策が停止するという事態は極めてまれである。
 さて、ここに至るまでに、この国策に向き合わざるを得なかったのが地元住民であり、地元自治体であった。
 地元住民は、農業や生活に欠かせない湧水への影響や、レーダー電波による影響、停止の原因となったブースター落下問題に不安を抱いた。閣議決定後すぐさま『イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会』(住民の会)をはじめとする複数の団体が反対を唱え立ち上がった。
 『住民の会』は、学習会で得た学者先生の科学的知見を基に申し入れを防衛省宛てに毎月行い、その回数は20回を超えた。住民の周知のために、リーフレットを3回作成した。戸別訪問署名という歩みを続け2万5千筆を防衛省と自治体に届けた。地元の人々の不安・不信の声を、客観的科学的知見に基づいて発信し続けたのである。
 一方、地元自治体である萩市は、度重なる住民説明会の開催にもかかわらず消えない住民の不安と疑問について、まず『防衛省むつみ現地連絡所』の設置にこぎつけた。この連絡所は、萩市の施設の中に設置され、ここで行われた全ての『住民の会』の申し入れに萩市職員が立ち会い見届けた。さらに、萩市独自の検証を行うため科学者5人の協力を得て『有識者会議』を設置し、防衛省の適地調査の妥当性について検証をした。
 計画のプロセスを停止に至らしめたのは、地元の人々の粘り強い活動と暮らしを守る根源的な願いと、客観的科学的見地に基づいた数々の指摘を、住民と自治体が国に投げかけ続けたことの力も少なくないのではないだろうか。
 しかし今、閣議決定で進められてきた地上イージス計画を、停止のままで終わらせるわけにはいかない。そもそもの導入を決定した国家安全保障会議(NSC)が正式に『配備撤回』を表明しなければ、停止という言葉が生んだ新たな不安や引き起こされた分断はここに残ったままだ。
 だからこそ『住民の会』は、今日もポスティング活動を続けている。さらに、7月25日には、新しい生活に対応したオンライン・シンポジウムを開催する。共に歩んだ5人の科学者に加え、同じく候補地だった秋田の住民運動家、佐賀空港へのオスプレイ配備反対を続ける住民運動家、沖縄からも基地問題で闘う運動家が画面越しに集う(シンポジウム『この国を問う』 予約・問い合わせ noaegis2@gmail.com)。
 イージス停止を受けて、日本中の平和運動の連帯が勢いを増して動きだした。