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[パンデミックと経済危機] 角田 義一

「晋は国家なり」 安倍首相退陣求め、国民のレジスタンスを

広範な国民連合代表世話人 角田 義一(元参議院副議長、弁護士)

 私は、つねづね「安倍晋三総理は亡国の宰相」であると言って、その退陣を強く訴えてきました。
 今回、コロナウイルスを巡る事態で総理が小中高の一斉休校を要請した事態に鑑みるに、われわれは「暗愚の宰相」を頂いていると暗澹たる気持ちを抱くに至りました。常識ある政治家ならば、これだけの事態を決定するにあたり、少なくとも財務、文科、経済各閣僚と合議の上決断するでしょう。彼は何の科学的根拠もなく「政治決断」と称して断行したのです。その結果、学校現場はもとより、関係する産業をはじめ社会的・経済的混乱を挙げれば枚挙にいとまはありません。その後の総理の対応を見れば、責任を痛感している様子は全く見えません。
 さらに許しがたいのは、この機に乗じて「特別措置法」を改悪し、非常事態宣言を発する権限を手中に収め、いっそう独裁体制を固めようとしている悪辣さです。いま国民が求めているのは不安からの解放です。それには検査態勢の充実と重症患者の命を救うべく体制を確立することが求められます。
 経済活動は停滞し、多くの中小企業は倒産の危機に直面し、非正規雇用やフリーランスなど経済的弱者は生活基盤そのものが崩壊に瀕している状況です。この際求められるのは、まず、社会に活力を取り戻すことではないでしょうか。そして生活擁護のための思い切った財政出動を考える時です。その原資は、赤字国債ではなく、法人企業がため込んだ500兆円近い内部留保に課税し賄うのが妥当です。
 さらに、政治的局面に目を向ければ、二つの重大な事態が惹起されました。
 一つは、内閣による検察支配です。総理は、強引に検事長の定年延長を決定し、さらに検察庁法を改悪し内閣が露骨に人事を掌握しようとしています。これを許せば健全な検察行政は期待できません。
 さらに森友学園問題に関連し、公文書改ざんを強要されて無念な自殺に追い込まれた元財務省近畿財務局職員赤木俊夫氏の妻が、当時の理財局長と国を相手に損害賠償請求訴訟を提起しました。真実の追究が喫緊の課題です。政府に再調査を求めるのではなく、国会の中に特別委員会を設置し、真実を国民の前に明らかにする責任が与野党にあると思います。
 安倍総理の一連の政治手法を見るとき、17世紀フランスのルイ14世の「朕は国家なり」の言葉を思い出します。安倍総理の専横な振る舞いはまさに「晋は国家なり」と言わざるを得ません。安倍総理の即刻の退陣を求め、われわれ国民一人ひとりが主権者としてレジスタンスをやるべき時です。