東北アジアに非核・平和の確立を!

今こそ日朝国交正常化を

「6・7朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」集会に参加して

日朝国交正常化全国連絡会 中村元氣

6月7日、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!日比谷野音集会」(主催 市民連帯行動実行委員会)が小雨の降るなか開催され、約1000人が参加した。私も日朝国交正常化全国連絡会幹事の立場で福岡から参加し、意見発表をした。集会には、日本・朝鮮の市民・学生や、労働組合、平和団体のほか、韓国からも「朝鮮学校差別反対!高校無償化適用要求!金曜行動12次訪問団」のメンバーなどが参加した。

集会では、主催者代表の高田健さんに次いで韓国から参加した東北アジア平和センター理事長のキム・ヨンホさん、民主労総副委員長のオム・ミギョンさんがあいさつした。
キム・ヨンホさんは「韓国と日本の100以上の市民団体がこのような集会を共同で開くことには歴史的な意味がある」と強調した。オム・ミギョンさんは「歴史による傷と痛みは今でも韓国と日本の人たちの心に残っており、望まない誤解と対決の火種となっている。日韓の民衆が心を合わせ歴史を清算しよう。それが東北アジアの平和を打ち立てる方法だ」と強調し、朝鮮学校の生徒などへの差別問題については「子どもたちの人権を守ってほしい」と訴えた。
続いて、東京中高民族管弦学部の演奏、生徒代表のあいさつがあった。その後、ピースデポ代表の湯浅一郎さん、ラブピースクラブ代表の北原みのりさん、そして最後に私が意見発表を行った。
私は「安倍総理はここにきて、『無条件で、私が金正恩委員長と向き合う』と発言していますが、朝鮮民主主義人民共和国から一蹴されています。それは当然であり、過去に散々朝鮮危機を煽り、敵視政策、経済制裁を強化し、高校無償化の朝鮮高校排除を強行してきた。そして一昨年の衆院解散総選挙では、対北朝鮮政策は『国難』とまで言い切った安倍総理。その舌の根も乾かないうちに『無条件』とは、まったく両国民を愚弄し欺き、平壌宣言を完全に無視するものであり、到底認めることはできません。しかし本当に、安倍総理が向き合うと言うならば、まず、平壌宣言の精神に立ち戻り、過去の清算、在日朝鮮人の権利擁護など、足元からの謝罪・反省と改善を鮮明にすることが先決だと思います。その上に立って、真の日朝国交正常化に向き合うことではないでしょうか。私たちは、要求します。朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を、そのためには、直ちに日朝国交正常化を、そして、アメリカ追従のみの政策を東北アジア中心へと転換せよ、対朝鮮敵視政策を直ちに止めよ、と訴えて私の意見とします」と発言した。
私は、福岡県教組委員長を退任した2008年から、日教組や各都道府県教組・高教組などで組織する日朝学術教育交流協会の会長として活動をしてきて、この6月で会長を退任し顧問として、今後も日朝友好、日朝国交正常化、高校無償化実現・朝鮮学校を支援する運動などに引き続き取り組んでいく決意である。福岡では、「福岡県日朝友好協会」と「福岡県朝鮮学校を支援する会」の一員として多くの仲間と共に運動をしている。
私が副会長をしている福岡県日朝友好協会は、08年5月に結成された。会の目的は、①思想・信条を問わず、日朝国交正常化を願う人はどなたでも、という超党派の組織で、②県民目線を大切に、毎年訪朝し、報告会を開く。これまでに11年連続で訪朝と報告会を開いている。私も10回訪朝した。そして、毎回マスコミの皆さんにも同行してもらい、今の朝鮮、市民の様子を報道してもらっている、③在日朝鮮人の皆さんとの交流や権利擁護、民族教育の支援などを活動の中心にしている。そして、全国の皆さんと連帯して、直ちに日朝国交正常化を、と運動を進めている。
私は、昨年、朝鮮半島で「4・27南北首脳会談」、シンガポールで「6・12米朝首脳会談」、さらに「9月平壌共同宣言」が実現し、政治的・軍事的な緊張状態が続いてきた朝鮮半島で「対話」と「自主的平和的統一」の機運が高まった状況の中で、「制裁」「弾圧」などの圧力一辺倒の安倍政権の政策を、「対話」「国交正常化」と変えさせることだと考えている。そしてそのことが東北アジア全体の平和の実現とつながっていくものと考えている。そのためには、日本の朝鮮に対する過去の植民地支配と侵略による加害の歴史を直視したうえでの真の日朝友好の実現が最重要だと考える。
安倍総理は、5月1日、産経新聞のインタビューで、日朝会談を「無条件」で実施したいと述べ、続く6日には、トランプ大統領との電話会談でも同様の意見を述べたと発表した。安倍総理はこれまで「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」「拉致問題解決に資する会議でなければならない」との政府方針を示し、圧力一辺倒の対朝鮮政策を続けてきた。
それが今回の政府方針の転換だが、先述のように、韓国・米国が朝鮮との首脳外交を活発化させる中、「蚊帳の外」状況を打開するため、「拉致問題」解決への期待を高め、政権浮揚を図ろうとしていることは明白である。
現に、朝鮮からは「わが国に天下の悪事を働いておきながら『前提条件なしの首脳会談開催』などと言っている安倍一味の厚かましさはこの上ない」と一蹴された。「安倍があたかも日本政府の対朝鮮協議方針を変更したかのように宣伝して平壌の扉をたたいているが、わが国に対する敵視政策で変わったものは何もない」と指摘、「過去清算こそが先決である」(アジア太平洋平和委員会代弁人)と主張したと報じられている。
実際に在日朝鮮人総聯合会を「破防法に基づく調査対象団体である」「今後の情勢いかんによっては、将来、暴力主義的破壊活動を行う恐れがあることを否定できない」とする答弁書を閣議決定(5月17日)するなど、朝鮮に対する敵視政策を続けている。また、朝鮮学校への高校無償化適用問題でも、現在5都府県(東京、愛知、大阪、広島、福岡)で裁判闘争(いずれも控訴審)が展開されているが、三権分立での「司法」の問題とはいえ、朝鮮学校の適用排除を法律で決めたのは現在の安倍政権であり、根本的な敵視政策は変えていない。このような事実をもってしても、日朝会談への「意欲」が安倍総理のスタンドプレーと言っても過言ではないだろう。
したがって、本当に日朝会談を望むなら、安倍総理、日本政府がまずしなければならない課題は明白である。それは、「平壌宣言」に基づく、経済協力問題、制裁解除問題などの理念・政策の実現である。そして、一日も早い日朝国交正常化の実現だ。そうすれば文化交流、人道支援が進み、拉致問題などのさまざまな課題が解決していくことになるのである。
その実現のため引き続き奮闘する決意である。

(広範な国民連合全国世話人)

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