新春メッセージ:鳩山友紀夫氏

 「自主・平和・民主のための広範な国民連合」の活動に賛同される皆さまとともに、新春のお祝いを申し上げます。

鳩山 友紀夫

 昨年はドナルド・トランプ氏の米国大統領選勝利に世界中が驚愕しました。安倍首相は今までの米国との従属関係を維持するためが如くニューヨークに向かい、いち早く「朝貢外交」を行いました。
 12月13日、恐れていた米軍オスプレイ( 垂直離着陸機)の墜落事故が名護市海上で起きました。抗議した沖縄県安慶田副知事に対し、在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官は、謝罪の意を表しながらも、県民に被害を与えなかったことを感謝すべきと、「植民地意識丸出し」発言を平気で行いました。
 
 さらに、15日、ロシア・プーチン大統領が来日しました。マスコミは領土問題の進展について大騒ぎをしましたが、結局は、「ロシアに領土問題は存在しない」として、共同経済活動の枠組みが主な議論になり、共同会見で、大統領は日ソ共同宣言時の「ダレスの恫喝」まで堰を切ったように話しました。
 
 これらに共通するのは、「日本の主権とは」ということです。とくに米国との、まだ占領下にあるのではないか、ともいうべき従属関係をいかに変えていくのか、この一点にわが国の未来がかかっていると言っても過言ではありません。
 
 世界を経済的に発展させるかに期待されたグローバリズムは、格差の拡大とテロや紛争を生み、社会的にも政治的にも経済的にも不安定な世界をもたらしています。多くの国では逆にナショナリズムが高揚してきています。
 
 日本ではアベノミクスの一時的効果は失せて、今後に大きな懸念が残ります。中国の経済も決して見通しの良いものではありません。米国の大統領選後の株高も、まだまだ不透明感があります。
 
 このような状況下で、中国・習近平主席はユーラシア大陸にインフラを整備して、陸と海から新たなシルクロードを創り上げようという壮大な計画「一帯一路構想」を打ち出しました。私はその助言機関である国際諮問パネル(IAP)のメンバーの1人となりました。
 
 私は、テロや紛争はしばしば貧困や差別が根本原因となっており、AIIBは途上国のインフラを整備する事業に力を貸すことによって、ユーラシア大陸を中心に貧困や差別を減らし、よって世界平和に貢献するべきであると発言しました。ロシアへの経済制裁や、このAIIB不参加も欧米、とくに米国の意向が日本に壁を作らせ自立的外交を損なっています。
 
 習近平主席は一帯一路構想を実現することで、ユーラシアは運命共同体となると主張しており、これは大変に大きな夢であり、実現は容易ではありません。私も東アジアを運命共同体にすべく、東アジア共同体構想を提案していますから、東アジア共同体構想と一帯一路構想は同心円なのです。
 私は友愛の理念に基づいて東アジアに共同体を実現できると考えています。覇を唱える国があってはなりません。経済のみならず、教育、文化、環境、エネルギーから安全保障に至るまであらゆる問題を対話と協調によって解決する努力を
払う。東アジアを不戦共同体とすることは決して不可能ではありません。
 
 このようなオープンでフレキシブルな共同体が地球全体を覆うとき、真に平和な世界が訪れると期待します。

一般財団法人東アジア共同体研究所 理事長 鳩山 友紀夫

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする