2016年 新年のあいさつ

労働者・農林漁民・中小商工業者・市民は連携し、対米従属から決別して自主・平和・民主の日本へ

 新年おめでとうございます。

 昨年は、日本経済が低迷する中で、国民の暮らしや営業は一段と苦しくなりました。他方で、多国籍大企業には過去最大の利益がもたらされました。そうした中で、安倍政権はアメリカの戦略に従って、安保関連法を強引に制定し、沖縄の辺野古新基地建設を力づくで進め、国会決議に反する環太平洋経済連携協定(TPP)を大筋合意に持ち込みました。対米従属で強権的な安倍政権に反対する国民運動が大きく盛りあがりました。世論調査での安倍内閣支持率も下がり続け、国民運動が最高潮となった時期には、不支持率が支持率を上回りました。国民の政治意識も変わりつつあります。

 今年7月には参議院選挙が行われます。来年4月から消費税率が10%に引き上げられます。安倍政権は支持率がいっそう下がらぬ前に政権を強化しようと、衆参同時選挙も策動しています。あわよくば参議院でも与党3分の2を実現し、国会で憲法改悪を提起できるようにしたいとの魂胆です。その選挙対策として、2020年までに名目GDP600兆円を実現するなどとした「新3本の矢」を唱え、国民の支持を獲得しようとしています。補正予算に組んだ4000億円のTPP対策費も、TPP大筋合意に怒る農民をなだめすかす選挙対策です。他方で、辺野古新基地建設については民意も地方自治も踏みにじり、建設工事を強引に進めようとしています。
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 これとどう闘ったらよいでしょうか。その前提として、世界のすう勢がどうなるのか考えてみましょう。

 2008年のリーマン・ショックで世界経済は「百年に一度の危機」と言われる深刻な経済危機に陥りました。各国政府による巨額の財政投入と国際協調、過去に例のないアメリカの量的金融緩和による大量の資金供給で、戦前の大恐慌のような破局にはなりませんでしたが、低成長が続きました。その中で世界経済をけん引したのは新興国、とりわけ4兆元の景気刺激策を行った中国でした。中国はリーマン・ショック後も投資主導で2011年まで9~10%の経済成長率を維持し、世界経済を引っ張りました。2009年にGDPで日本を追い越して第2の経済大国になり、2014年に購買力平価でアメリカを追い越しました。しかし、投資主導の経済成長は需要が追いつかず、過剰生産、過剰設備となり、2012年以降は7%台に経済が減速し、新興国の対中輸出も激減しました。昨年8月にはこうした中国経済の先行き懸念と混迷する中東情勢もあいまって、世界同時株安が起きました。
 他方で、アメリカのFRBは2012年10月に量的金融緩和による資産購入を終了し、昨年12月に利上げに踏み切りました。それを見越して、新興国からアメリカへ資金が流出し、中国と共に世界経済をけん引してきた新興国も深刻な打撃を受けました。アメリカの利上げは低成長をさらに押し下げます。
 こうして、世界経済はリーマン・ショックから立ち直きれぬまま、より深刻な新たな危機の局面に入ったのではないかと思われます。こうした世界のすう勢は日本経済に深刻な影響を及ぼして、「新3本の矢」などは吹き飛び、国民の不満と怒りが噴出し、安倍政権を揺るがすのではないでしょうか。
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 私たちがなすべきことは、国民の高まる不満と怒りを政治を変える力に発展させることです。
 第1に、沖縄の辺野古新基地建設反対の国民世論を日本全国で盛り上げましょう。そのために、沖縄県民を招いて実情を聞く集会やデモを行ったり、それぞれの地方議会で「沖縄県民の民意を踏みにじる政府に抗議する意見書」や「日米地位協定の抜本的な見直しを求める意見書」を採択させましょう。
 第2に、TPP協定批准反対の国民世論を日本全国で盛り上げましょう。そのために、農民・農民団体を訪ねて実情を聞いたり、地方議会で「TPP協定批准に反対する意見書」を採択させましょう。
 第3に、苦況にある中小零細業者の団体を訪ねて、実情を聞きましょう。
 第4に、労働組合を訪ねて実情を聞くと同時に、国民各層の闘いなどの情報を伝え、共に闘うよう呼びかけましょう。
 対米従属から脱却し、国民の生活・営業を守るため、アジアの平和と繁栄のため、労働者・農林漁民・中小商工業者・市民など広範な国民各層の連携を進め、対米従属・国民犠牲の安倍政権に反対する国民世論・国民運動を盛りあげましょう。力をあわせて闘う年にしましょう。
  2016年1月
     自主・平和・民主のための広範な国民連合

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